(1)近年は食習慣がかなり変化してきていることもあり、検診でも、あごが十分成長していないお子さんを多く見受けます。成長不足で小さいあごに出てくる大人の歯は重なって生え、八重歯、乱ぐい歯等になってしまいます。また、指しゃぶりや爪を噛む癖があると、噛み合わせがゆがんでしまうこともあります。このままで成長すると、虫歯、歯槽膿漏(しそうのうろう)、歯の偏磨耗、破折等がおき、内臓への負担過重や精神的コンプレックス等、肉体的にも精神的にも悪影響が現れてきます。たかが歯並びとは言えません。
治療開始は早ければ早い程患者さんのあごの骨の成長を十分コントロールすることができ、理想に近づけることが容易になります。『早期発見・早期治療』が大切なのです。4~5歳でかかりつけの歯科医師に相談、または検診等で「心配」と言われたときは専門医に相談した方が良いでしょう。何歳から始めても矯正治療は十分可能です。
(2)治療に年齢制限はありません。
成人だから無理ということは無いのです。矯正治療は子供たちだけの治療ではありません。ただ、治しやすさや治療目標のレベルは変わってきます。
あごは身体の成長と関係しているといわれています。女の子では14才、男の子では16才でほぼ大人と変わらないあごに成長するようです。治療開始が遅ければ、できあがったあごの形に歯並びを調和させることになります。したがってあごが小さすぎると,歯を抜いて矯正治療をする可能性が増えてきます。
大人ではさらに歯槽膿漏(しそうのうろう)のコントロールや、親知らずの歯、顎関節症等に必要に応じて対処しています。
■ 4~12歳で始める場合…治療は2期に別れます。
主にあごの成長できるだけ正常な方向に誘導することが目的です。工事に例えると、あごという骨格の基礎工事をしっかり行うことです。その後、永久歯がすべて生え揃うまで経過観察になります。あごが正常に成長しているか、虫歯は無いか、歯茎は健康か等をチェックする時期になります。3~6ヶ月に一回です。
来院時に歯ブラシ指導や、歯の虫歯予防処置、清爽、研摩があります。
大人の歯が全て生え揃ってから始めます。
第1期治療で改善された骨格の上で、永久歯の噛み合わせの仕上げを行います。従ってこの第2期治療は簡単で,短い治療期間となります。
あごの骨という基礎に乗った歯という建物をしっかり建てることに例えられます。
あごの骨の基礎工事からしっかりできれば、噛み合わせは安定します。
■ 14歳以降で始める場合は、“歯の移動”が主な治療です。
第2期治療が中心となる治療になります。通常、大人の歯が全て生え揃っていますので、主に永久歯のかみ合わせを治療します。あごの骨格の治療もできる範囲で同時におこないます。装置は、その人のライフスタイルにより選択されます。